オノマトペを用いて
印象を測る

考察

Figure1より、「かんかん」と「きんきん」、「がんがん」と「ぎんぎん」、「がんがん」と「ごんごん」間のユークリッド距離が特に短いことが読み取れるから、これらのオノマトペはそれぞれ似ているといえる。しかし、「がんがん」と「ぎんぎん」、「がんがん」と「ごんごん」は似ているが「ぎんぎん」と「ごんごん」は似ていないようである。ユークリッド距離を算出する前に、母音或いは子音が同じものである方が、両方違ったものよりも似ているという結果になるだろうという予測を立てた。確かに、グラフをぱっと見ただけでは、全体的に左側の方の値が小さく右側の方の値が大きいので、予測どおりの印象を受ける。しかし、よく見ると母音が同じものより子音が同じものの方が似ていることが読み取れる。また、特に「こんこん」と「ごんごん」は、母音が同じにもかかわらず、大変違った印象を受けることが分かる。「きんきん」と「くんくん」、「ぐんぐん」と「ごんごん」、「くんくん」と「ぐんぐん」も、母音或いは子音が同じであるが、印象はずいぶんと違っている。逆に、母音も子音も違っていても「かんかん」と「ぎんぎん」、「きんきん」と「がんがん」は比較的似た印象を与える。提出者の内観を考えてみると、「かんかん」、「きんきん」、「こんこん」、「がんがん」、「ぎんぎん」、「ごんごん」は何らかの音という印象が強かったが、「くんくん」、「ぐんぐん」はというと、擬音語というより擬態語のイメージがあり、これら8つのオノマトペのうち「くんくん」、「ぐんぐん」は別の物のように感じた。辞書で調べた語本来の意味を見ても、「くんくん」と「ぐんぐん」以外は物を叩いて出す音というような記述があり、これらのイメージも、判定に影響を与えたものと考えられる。
軸となった形容詞に関して、「X18 遠い-近い」、「X30 特徴的な-ありふれた」は値が低く、分類はしたものの、どの因子にも属さないと考えられる。他の因子も、値が低くて分類しない方が良いものもあったが、概ね上記の通りである。
今回の実験の問題点としては、既に授業中に言及されてしまったが、最後の方になると次に提示されるオノマトペが何であるかの予想がついたことである。この問題を改善するには、被験者が次のオノマトペを予想できないくらい刺激数を増やしたり、個々人でそれそれ提示順序を変えて実験を行った後で統計をとったりなどが必要である。

感想

日本語は多国語に比べて、圧倒的にオノマトペの数が多いと聞いたことがある。
もっと多くのオノマトペに関しても、同様の実験をしてみたいと思った。子音がkとgのCVNCVN4モーラ繰り返しのオノマトペは、何らかの音を示すものが多いが、そうでない子音のものを用いたら違った結果を得られたかもしれないので興味深い。例えばsとzの「しんしん」「じんじん」、「すんすん」「ずんずん」などである。また或いは、撥音を用いない「さらさら」「ざらざら」、「しくしく」「じくじく」といった繰り返しのオノマトペや、「さっくり」 「ざっくり」、「しっとり」「じっとり」などといった繰り返しでないオノマトペについても、どういう結果になるのか大変興味深い。ただ、パターン分けがかなり煩雑になってしまうと思う。

参考文献・引用文献

白石大二(編) 1992 擬声語擬態語慣用句辞典 東京堂出版 Amazonで購入する→
田中良久 中谷和夫 1975 序論 田中良久(編) 講座心理学 第2巻 計量心理学 東京大学出版会 Pp1-20 Amazonで購入する→
日本国語大辞典第二版編集委員会 小学館国語辞典編集部(編) 2001 日本国語大辞典第二版 第三・四・五巻 小学館 小学館で購入する→

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